身狭乳母むさのおも)” の例文
旧字:身狹乳母
身狭乳母むさのおもの思ひやりから、男たちの多くは、唯さへ小人数な奈良の御館みたちの番に行けと言つて還され、長老おとな一人の外は、唯雑用ざふようをする童と奴隷やつこ位しか残らなかつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
何から何まで縛りつけるやうな身狭乳母むさのおもに対する反感が、此で幾分帳消しになる気がするのであらう。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
内に居る身狭乳母むさのおも桃花鳥野乳母つきぬのまゝ波田坂上はたのさかのへの刀自、皆喜びと、不安とから出る歎息を洩し続けてゐる。時々伺ひに出る中臣志斐嫗のしひのおむな三上水凝刀自女みかみのみづごりのとじめなども、来る毎に顔見合せてほつとした顔をする。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)