螽斯きりぎりす)” の例文
さうして驚き易い私の皮膚と靈はつねに螽斯きりぎりすの薄い四肢のやうに新しい發見の前に喜び顫へた。兎に角私は感じた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
未決監を出てからもう彼是一と月、その間、日となく夜となく緊張し切つた俺の神経はまるで螽斯きりぎりすのやうに間断きりもなく顫へ続けた。狂気と錯乱とがもう俺の目前に赤く笑つてゐる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
磯草むらの螽斯きりぎりす鳴かずにゐられで鳴きしきる
真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)