薯焼酎いもせうちう)” の例文
酒は薯焼酎いもせうちうとかで、鼻へ持つてくると、ぷんと臭い。徳利が、二本もやかんにつけてあつたので、富岡は薯焼酎とは思はなかつたのだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
それにしても、ゆき子の生命に、少しでも、この薬が反響したといふ事は、富岡には、嬉しかつた。富岡はすつかり疲れてしまつてゐる。夜になつて、また薯焼酎いもせうちうを、ゆき子の枕許まくらもとで飲んだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
山の上は、珍しく土砂降どしやぶりの雨だつた。富岡は、町へ降りるのを、一日のばして、事務所のストーブにあたり、山の人達五六人と、薯焼酎いもせうちうを飲んでゐた。里へ降りて、官舎へ戻る勇気はなかつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)