渡り鳥のように四国の脊梁山脈せきりょうさんみゃくを越えて南海の町々村々をおとずれて来る一隊の青年行商人は、みんな白がすりの着物のしりを端折った脚絆草鞋きゃはんわらじばきのかいがいしい姿をしていた。
物売りの声 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)