背長せたけ)” の例文
良民社会に対して容易ならぬ恩人なるを知り我が前に行く目科の身が急に重々しさを増しきたり、其背長せたけさえ七八寸も延しかと疑わる
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
といふのは、彼女の言ひ草では、一方からは背長せたけの小柄な人が、他方からは大柄な人が乗るのに都合が好いといふのであつた。
疾視付けられた者は通りすがりの巡査で、巡査は立止ッて不思議そうに文三の背長せたけを眼分量に見積ッていたが、それでも何とも言わずにまた彼方あちらの方へと巡行して往ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
彼女の背長せたけはほとんど巨人のやうで、またそれに全くふさはしい肉つきと腕力とをそなへてゐた。