緋縮緬ひちりめん)” の例文
十八娘の美しさが、恐怖きようふと激情に薫蒸くんじようして、店中に匂ふやうな艶めかしさ。鹿の子絞り帶も、緋縮緬ひちりめん襦袢じゆばんも亂れて、中年男のセピア色の腕にムズと抱へられます。
友禅模様の、めざむるばかりにあでやかな長着、緋縮緬ひちりめんの長襦袢じゅばんが、いましめられた姿の裾からこぼれんとする。あたかも、雨にうたれた牡丹が、まさに崩れんとする風趣である。
純情狸 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)