寛保二年に十五歳で、この登勢に入贅にゅうぜいしたのは、武蔵国むさしのくにおしの人竹内作左衛門たけのうちさくざえもんの子で、抽斎の祖父本皓ほんこうが即ちこれである。津軽家は越中守信寧のぶやすの世になっていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)