諸士の出入りする通用門につづく築地塀ついじべいの陰。夕方。杉、などの植込みの根方に、中小姓税所郁之進さいしょいくのしんと、同じく中小姓池田、森の三人が、しゃがんで話しこんでいる。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)