栗橋の世帯しょたい代物付しろものつきにて売払い、多分の金子かねをもって山本志丈と二人にて江戸へ立退たちのき、神田佐久間町かんださくまちょうの医師何某なにがしは志丈の懇意ですから、二人はこゝに身を寄せて二三日逗留し