祖神おやのかみ)” の例文
山の祖神おやのかみが没くなるとまもなく子が無いことをかこっていた筑波の岳神夫妻の間にこれをきっかけに男女五人ほどのこどもができた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
晩秋の夕の露気に亀縮かじかんだ山の祖神おやのかみの老翁は、せめてこのかがり火に近寄ってあたりたかったが、それは許されないことである。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
山の祖神おやのかみの翁は西国の山々へはほとんどこどもを間配り終り、その山々の神としての成長をも見届けた。いまは望むこともないように思われた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)