百合若大臣ゆりわかだいじんいくさにしつかれ、熟睡せられしにも超えたり。傍人ぼうじん、笑止に思ひはべりていふ。およそ、人の気根もつづく程こそ有るべけれ。ぬる年のうちは、つひに夜のひまさへ穏かならざりし。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)