発戸ほっと)” の例文
これに引きかえて、発戸ほっと河岸の松原あたりは、実際行ってみて知っているので、その地方を旅行した人たちからよくほめられた。
『田舎教師』について (新字新仮名) / 田山花袋(著)
発戸ほっとのほうに散歩をしだしたのは、田植え唄が野に聞こえるころからであった。花が散ってやがて若葉が新しい色彩を村にみなぎらした。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
学校から村を抜けて、発戸ほっとに出る。青縞あおじまを織るはたの音がそこにもここにも聞こえる。色の白い若い先生をわざわざ窓から首を出して見る機織女はたおりおんなもある。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
発戸ほっとは風儀の悪い村と近所から言われている。埼玉新報の三面だねにもきっとこの村のことが毎月一つや二つは出る。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)