この看護婦は修善寺しゅぜんじ以来余が病院を出るまで半年はんねんの間始終しじゅう余のそばに附き切りに附いていた女である。余はことさらに彼の本名を呼んで町井石子嬢まちいいしこじょう町井石子嬢と云っていた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)