燈芯皿とうしんざら)” の例文
たった一つ、消し残された行燈あんどん燈芯皿とうしんざらにも丁字ちょうじかすんで、軒ばの夜露が、雨だれのように淋しく夜を刻んでいる。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう、有明けの燈芯皿とうしんざらほども、精気のない彼の肉体は、すぐに、綿のようにつかれてしまった。なんの気力さえないように、ぐったりと、動かなくなった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)