焼餅おやき)” の例文
斯う言つて、袋の中に残るつめた焼餅おやきらしいものを取出して、細君は三人の児に分けて呉れた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
進は一つ頬張り乍ら、やがて一つの焼餅おやきを見せびらかすやうにして、『省吾の馬鹿——やい、やい。』と呼んだ。省吾は忌々敷いま/\しいといふ様子。いきなり駈寄つて、弟の頭を握拳にぎりこぶしで打つ。弟も利かない気。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)