最前よりいろ/\事の道理を分けて御意見申上候得そうらえども、御聞入れ無之候得者これなくそうらえば、是非なき次第に候間、このまゝ手足を縛りてなりとお屋敷へ連れ帰り、御不憫ごふびんながら不義密通のうったえをなしもうすべしと
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)