為方シカタ)” の例文
旧字:爲方
こんなことを考へて見ると、寂しくてはかない気もするが、すぐに其は、自身と関係のないことのやうに、心はニギはしく和らいで来て、為方シカタがなかつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
尤、かうした為方シカタは、今はもう避くべきことを知つて来たが、尚此歌の場合、棄てるべきものではない。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
そこへ無闇に、聯想の赴く儘に任して材料を集めてをれば、牽強附会になるので、訣らない限りは放つて置くより為方シカタがないですから、放つて置いたのですけれども、どうも関係がありさうです。
国語と民俗学 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其は、別の何かの為方シカタで、防ぐ外はなかつた。祭りの夜でなくても、村なかの男は何の憚りなく、垣を踏み越えて処女の蔀戸シトミをほと/\と叩く。石城シキを囲うた村には、そんなことは、一切なかつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)