楼門さんもん)” の例文
旧字:樓門
三人がおもてへ出ると、楼門さんもんの向こうの町すじに、もう群衆がどよめいていた。風はやんだが、夕方が早く、暗くなりかけていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
○五月、中村福助は養父の名を継ぎて五代目中村芝翫と改名し、歌舞伎座の中幕に「楼門さんもん」の石川五右衛門を勤む。
明治演劇年表 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ふたりは、楼門さんもんからはいっていくために、まっすぐ金剛寺坂をおりて、いちおう金剛寺門前町の大通りへ出ようとしていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
が、それはそのときのことにしようと決心して、はだしに高下駄を突っかけて金剛寺の楼門さんもんを出た。微風が、お衣の袖にはらんで、一空さまは、爽々そうそうと歩いて行った。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)