かかる機会を与ふるにやぶさかなりしと共に、儒教主義の教育を受けたる予も、亦桑間濮上さうかんぼくじやうそしりおそれたるを以て、無限の離愁を抱きつつ、孤笈飄然こきふへうぜんとして英京に去れり。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)