斜視すがめ)” の例文
四十近い年配で、黒のインバネスを着てゐた、目をシヨボシヨボ斜視すがめのやうにつかふ癖のある、童顏の大きな男であつた。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
軽い斜視すがめがあって、上顎の門歯が二本欠けている。人相書を作製するのに、これ以上のことは望めないというような、しっかりした特徴をもっている。
悪の花束 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そのお嬢さんは、へんに煤黒い、ひどい斜視すがめの、棒をんだようなヌーッとした感じのひとで、眉目秀麗な秋作氏と並ぶと、一種、対照の妙を示すのだった。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
彼は氣うとさうな斜視すがめの眼で何處どこを見るともなく見つめて、依然頬には人の好ささうな微笑を漂はせてゐた。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
ヴァレンシアは南米航路の汽船でもっているような港だが、そこに住んでいる一婦人が、外港の波止場で、ひょろりとした、斜視すがめの、新聞の人相書で読んだグランヴィルにそっくりの青年に出逢った。
悪の花束 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)