つん)” の例文
一彎の長汀ただ寂寞として、碎くる浪の咆哮が、容赦もなく人の心をつんざく。黒一點の楠野君の姿さへ、見る程に見る程に遠ざかツて行く。肇さんの頭は低く垂れた。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
眞上の空をつんざいて、落ちて四匝あたりの山を動かし、反つて數知れぬ人の頭を低れさせて、響の濤の澎湃と、東に溢れ西に漲り、甍を壓し、樹々を震わせ…………………………弱り弱つた名殘の音が
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)