慥乎しっかり)” の例文
『いい、いい、おれの事はいい。今度の仕事は、お前の腕が初めて世間で試めされる大事な一本だ。慥乎しっかり、鍛てよ』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慥乎しっかり、鍛てよ、と彼が激励したのは、正直で鈍重なこの一弟子に、はやく一人で飯の喰えるだけの力をつけてやりたいと常々念じていたからであった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みんな待っているじゃないか。慥乎しっかりしろ、なんだ三十男が、少しばかり世間の浅瀬あさせおぼれたからと云って——
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ばば様。お待ちなさいよ。……気を慥乎しっかりして! 今! もう直ぐにお助けいたしますから」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……ちイッ。城太さんッ、慥乎しっかりして!」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)