後妻ウハナリ)” の例文
葛城部の伝承の主人公なる貴い女性は、採り物の一種、酒杯用の御綱柏ミツナガシハを紀伊の国にとりにおいでになつた。其間に、後妻ウハナリとして八田若郎女ヤタノワキイラツメを宮廷に召された。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
多くの女の愛情を、身一つに納める一面には、必、後妻ウハナリ嫉みが伴うてゐる。万葉人の理想の生活には、此意味から、女の嫉妬をうける事を条件とした様に見える。
万葉びとの生活 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
男には諸向き心を、女には後妻ウハナリ嫉みを認めてゐたのが、この頃の夫婦関係であつた。
万葉びとの生活 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
江戸より前の武家の家庭では、後妻ウハナリうちが頻々と行はれた。誠に今も残つてゐる絵が示す様な、百鬼夜行を見る程な荒い復讎手段であつた。相手の家の雑作調度を、大ぜいで攻めかけて壊して来る。
万葉びとの生活 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)