この陰鬱いんうつな屋敷にいる俺でさえそうだもの、まして、赤穂の浪士たちの身になれば、このお邸の門は、仏者の説く往生極楽おうじょうごくらくの門にひとしい。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)