彦山ひこさん)” の例文
九州の方でも彦山ひこさんの周囲の村などでは、赤ショウビンをニイレという方言があり、この鳥が人家に入れば死人があるといった。
しかしどちらへ向かって? 彼は自分の家の方へは行かなかった。彦山ひこさんの中腹を少しおりたところに父の建てた自分の古家。
しかし、何よりも宝鏡先生を神経質にさせたのは、自分に「彦山ひこさん山伏」という綽名があるのを知ったことだった。
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
次の日世に知られぬ尼院ありと伝うる彦山ひこさんに登り、二日の後に帰り来たり、夫ありて夫に死なれ、子ありて子におくれ、世間より捨てられたる者ならでは尼となられぬこと
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
「蜀山は此処で役人をしていたんだよ。しかしこの歌は少し違っている。確か『彦山ひこさんの峰から出たる』というんだが、彦山の峰では地方的で世間へ通じが悪いから長崎の山と改めたらしい」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
昔々春の末にある一人の狩人が、黒といういぬをつれて狩に入り、彦山ひこさんに近い山の中で鹿を見つけた。