隣り屋敷の小笠原隼人おがさわらはやとの奥では、今日も、大蔵流おおくらりゅう小鼓こつづみの音がしていた。世間、能流行のうばやりなのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)