寰区かんく)” の例文
旧字:寰區
山の麓に見ゆるは土河内村なり、谷迫りて一寰区かんくをなしことさらに世と離れて立つかのごとく見ゆ、かつて山のいただきより遠くこの村を望み炊煙の立ちのぼるを見てこの村懐かしくわれは感じぬ。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それであるから、自分の目には彼が半身に浴びている春の夕陽までがいかにも静かに、穏やかに見えて、彼の尺八の音のとどく限り、そこに悠々たる一寰区かんくが作られているように思われたのである。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)