やつ)” の例文
お粂はすっかりやつれていた。薬土瓶を枕元に置いて寝たきりなのである。けれど、そうしている半月余りは、さして辛くもなかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五年変り種漁りに憂身をやつしていたのであったが、バルセローナ州選出の上院議員ルロイ・ソレル男爵の夫人は、すでに一昨年と昨年と続けて二回も入選していた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「思ったよりは、やつれてもいない。なかなか気丈きじょうそうな女子ですこと。——何か、お言葉をかけておやりなさい」
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)