大衝立おほついたて)” の例文
呵々から/\と氣違ひ染みた笑ひを突走らせるのは、黒髮も衣紋も滅茶々々に亂した妖婦お小夜、金泥きんでいに荒海を描いた大衝立おほついたての前に立ちはだかつて、艶やかによこしまな眼を輝かせます。
竜を描いた新しい大衝立おほついたてが玄関の正面にある。その蔭で、机に向つてゐるのが産院で見覚えの大津しもであつた。白粉おしろいをこつてりとつけて、紺の上着に紺の袴をはいて、何か書きものをしてゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)