多景たけ)” の例文
青嵐居士せいらんこじ不破ふわの関守氏とが多景たけの島を訪れた翌々夜のことで、その夜は月が湖上に晴れておりました。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今まで忘れてゐた右舷の方の湖上に眼を放つと、多景たけ島がやゝ近くに岩の上に立つてゐる堂塔の形を見せてゐる。沖の白石はその眞西にあたつて、今日も白帆を集めたやうに水の上に浮いてゐる。
湖光島影:琵琶湖めぐり (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
どうなっているかという心配の下に、相談を進めている前後、青嵐居士と、不破の関守氏とが、多景たけの無人島へ農奴を連れ込んで、弁信法師の饒舌じょうぜつ辟易へきえきしている前後のこと——でありました。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)