合致がふち)” の例文
さうでなければ、全心全力を傾注する、全人的な、最も眞率眞劍な、最も無餘裕な肉靈合致がふちを悲痛の自我に實現することは出來ないこと。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
渠等にして、若し活眼を開らく時があつたら、僕の肉靈合致がふち説の如きは、わが國の神代に既に行はれてゐたことを知るだらうよ。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
哲學研究者は獨創のけんに乏しい現代に於いて、文藝と哲學とを合致がふちする義雄自身の新哲理、新情調を發表するのは、どちらにも分らないといふ困難があること。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
義雄も女もしくは女の幻影がなければその生活に元氣がないが、その元氣は性慾並びに生々慾が軍事、政治、實業、文藝などを合致がふちしたものであると信じてゐる。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
然し、渠は、腹の中では、その實、最も反對に、自己をその根柢から動かす知、情、意合致がふちの悲痛を、過去や未來の記憶や希望の餘裕なきほどに、深く感じてゐたのである。
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
肉靈の合致がふちしない戀などで、自分はどうせ滿足出來ない。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)