小林翁の東京風景画は古河黙阿弥ふるかわもくあみの世話狂言「筆屋幸兵衛ふでやこうべえ」「明石島蔵あかしのしまぞう」などと並んで、明治初年の東京をうかがい知るべき無上の資料である。
狂言作者古河黙阿弥ふるかわもくあみのかつてその戯曲『鵜飼の篝火かがりび』をつくるや狼のむれをして山中の辻堂にひそめる淫婦の肉を喰つて死に致さしむ。その意は勧善懲悪にありしなり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)