勝名乗かちなのり)” の例文
先陣の紅葉が先ず花々しい勝名乗かちなのりを挙げたので、『新著百種』は一足飛びに出版界の一枚看板となり、紅葉胸中の成竹せいちくようやく熟してこの機をはずさず硯友社の勢力展開の歩を進めた。
試合奉行の近藤甲子之助が、声高く御前に勝名乗かちなのりをあげて引き下がると、彼方かなた、松平家の幕屋をはじめ、諸侯近侍の中から我を忘れたようなワーッという称讃のどよみが揚がった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)