藩主はんしゅ加賀守綱紀かがのかみつなのりが在国ちゅうで、ずっと御用が多いため下城はいつもおくれがちであった。
日本婦道記:梅咲きぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
前田家は、幕府の制度によると、五世ごせ加賀守綱紀かがのかみつなのり以来、大廊下詰おおろうかづめで、席次は、世々尾紀水三家びきすいさんけの次を占めている。勿論、裕福な事も、当時の大小名の中で、肩を比べる者は、ほとんど、一人もない。
煙管 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)