内證事ないしよごと)” の例文
新字:内証事
「番頭の彌八ですよ。店中でこの内證事ないしよごとを知つてゐるのは、番頭の彌八と當人のお夏だけ、あとは死んだ内儀を始め誰も知りやしません」
「そいつは申上げても仕樣が御座いません。ほんの内證事ないしよごとで。——それぢや、親分さん、これでお暇いたします。大きにおやかましう御座いました」
「承はりませうか。私は町方の岡つ引きで、御武家の内證事ないしよごとに立ち入ることは出來ませんが、八五郎から聽くと、大層御氣の毒な御身分ださうで——」
如何でせう。この平次の申上げたことに違つたことや足りないところはなかつたでせうか。私は町方の御用聞で、御大身の御旗本の内證事ないしよごとにまで、口を
「へ、へ、内證事ないしよごとといふものは、何處からともなく知れるもので、それを知らなかつたのは、今朝亡くなつた内儀さんと、お絹さんお信さんくらゐのものでせうよ」
菊屋から融通ゆうづうさして居るんだとも言ひますがね、——そんな内證事ないしよごとまではわかりませんよ
「待て/\八。武家の内證事ないしよごとは、こちとらのかゝはる事ではない。歸らう」
「何アにほんの些細ささい内證事ないしよごとで、へツ、へツ」
「又六の所へは時々若い女も來るらしいが、叔母さんといふのは金聾かなつんぼだから、又六の内證事ないしよごとなんか判りやしません。暮し向は良い方で金もうんと持つてゐるさうです。家の中には紅も白粉もありましたよ。——この通り」