全然すっか)” の例文
で、斌も峰松も、佐藤とお君との恋愛をひどく嫌ったのは云う迄も無い。二人は塾の事に冷淡になった。是が直ちに影響し塾生の数がとみに減った。すると今度は佐藤の方で全然すっかりお冠を曲げて了った。
絞って「秀子さん、秀子さん、お腹も立ちましょうが其の様に云わずと過ぎ去った昔の事は全然すっかり忘れて——」秀子「ハイ貴方と一旦お近づきに成った事まで忘れましょう、最う茲に居る用は有りません、丸部さん、貴方にはおさらばです、爾して権田さん貴方には又お目に掛ります」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)