傷心しょうしん)” の例文
その顔のあからみはすぐ音枝の傷心しょうしんへの思いやりに移り、後悔にも似た気持がわく。
雑居家族 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
親愛な人々を見暮らす根気こんきが尽きて、限りなく懐しみ乍ら訣別けつべつを急ごうとする広々とした傷心しょうしんを抱き、それをいつくしんで汽車に乗った。知る友のない海浜の村落へ来て、海を眺めた時、ほっとした。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「何か傷心しょうしんのことがございましたね」
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)