しあはせ)” の例文
誰も力になつてくれるもののない抵抗しやうのない淋しさで、暗がりに眼を開いたまゝ、ゆき子はじつと激しい雨の音に耳をかたむけてゐた。伊庭がこの家にゐなかつた事はしあはせであつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)