余輩の聞くところにて、人民の権義を主張し正理を唱えて政府に迫り、その命を棄てて終わりをよくし、世界中に対して恥ずることなかるべき者は、古来ただ一名の佐倉宗五郎さくらそうごろうあるのみ。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
われかつて『ウィルヘルム・テル』の劇を見たりし時、しいたげられしといふ瑞西スィツルの土民、その暴主と問答する態度の豪気ある事、決してわが佐倉宗五郎さくらそうごろうの如き戦々兢々たるの比にあらざる事を知れり。
矢立のちび筆 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)