低唱ていしょう)” の例文
咽喉から流れるままに口の中で低唱ていしょうしたのであるが、それによって長吉はやみがたい心の苦痛が幾分かやわらげられるような心持がした。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わたくしはこの忘れられた前の世の小唄こうたを、雪のふる日には、必ず思出して低唱ていしょうしたいような心持になるのである。この歌詞には一語の無駄もない。
雪の日 (新字新仮名) / 永井荷風(著)