二本差りやんこ)” の例文
「そんな氣のきいた話ぢやありませんよ。いつか話したでせう、薄墨華魁おいらんのことで鞘當さやあてをしてゐる、二本差りやんこと藥種屋の若主人」
「何を言やがる。命の二つや三つは、何時でも投げ出して見せると言ふお前ぢやないか。それとも急に二本差りやんこが怖くなつたか」
年の頃は三十二三、二本差りやんこには違げえねえが、薄墨華魁に入れ揚げて、小藩のお留守居だつたのが永の暇になつたとかで
吾妻屋永左衞門の棒振り劍術と違つて、相手は二本差りやんこだけに、劍術の腕前は確かにすぐれてゐるでせう。
二本差りやんこが自分の刀を、尻から胴中まで突き立てられて死んでゐるんだ。まるで燒鳥ですぜ、親分」
「八五郎ぢやねえが、俺も生れつき二本差りやんこ田螺和たにしあへは嫌ひさ、ことに石崎樣と來ちや苦手だね」
二本差りやんこが二人、肥つたのと、せたのが、角の酒屋で訊いて居ましたよ——高名なる錢形平次殿の御屋敷は、この邊ではないか——とね、お屋敷は嬉しいぢやありませんか」
「聽いたよ、——が、二本差りやんこと鐵砲汁は親の遺言でもちゐないことにしてある」
「すると、麻布からあつしを跟けて來たのも、戸袋の蔭の二本差りやんこも?」
二本差りやんこが二人——」
二本差りやんこか」