反ファシスト派の巴里パリー機関紙「黄色い嘴ベッコ・ジャロ」の論説部員として、今朝けさ死を賭して、この「久遠の街イタアナル・シティ」へ潜り込んだのだと信ずるに足る、あの、彼女からの、あわただしい電話だった。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)