御承知でもござろうが、この宝蔵院流槍の開祖は、当院の覚禅房法印胤栄かくぜんぼうほういんいんえいと申して、もとは中御門なかみかど氏でござったが、僧徒に似合わず武芸を好んで、最初は剣術を上泉伊勢守こういずみいせのかみに学ばれたものじゃ。
「上州の上泉伊勢守こういずみいせのかみこそそれがしが最初の師でござる」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)