町をまた一巡りして宿へ帰って来た笹村は、この十日ばかり何を見つめるともなしにそこに坐っていた自分の姿を、ふと目に浮べた。
あの辺を一巡りして帰って来れば隣のラディオも止む時分になるのであろうと、罪をラディオに塗付けて、わたくしはまたもや墨田川を渡って東の方へ歩いた。
そのすこのしまえ、かのあやしい釜は、見物人の頭の上の飛行を一巡りおえて、からだをひねって、ひらりと舞台の上へもどってきた。そしてもういちど綱わたりをはじめたのだ。
それが一巡りすると、釜は綱のはしへ、ひょいとのせられる。