一巡ひとまわ)” の例文
町をまた一巡ひとまわりして宿へ帰って来た笹村は、この十日ばかり何を見つめるともなしにそこに坐っていた自分の姿を、ふと目に浮べた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あの辺を一巡ひとまわりして帰って来れば隣のラディオも止む時分になるのであろうと、罪をラディオに塗付けて、わたくしはまたもや墨田川を渡って東の方へ歩いた。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そのすこのしまえ、かのあやしい釜は、見物人の頭の上の飛行を一巡ひとまわりおえて、からだをひねって、ひらりと舞台の上へもどってきた。そしてもういちど綱わたりをはじめたのだ。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それが一巡ひとまわりすると、釜は綱のはしへ、ひょいとのせられる。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)