一品いっぴん)” の例文
「うん旨けりゃそれでいい訳だ。しかしその旨さが十銭均一の一品いっぴん料理とおんなじ事だと云って聞かせたら亭主も泣くだろうじゃないか」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
最後の一品いっぴんは桃色の吸取紙であったが、それには三千子の指紋がある外には、別に注意すべき点もなかった。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
下宿へ帰るのもめんどうだから、途中で一品いっぴん料理の腹をこしらえて、美禰子の家へ行った。前を通ったことはなんべんでもある。けれどもはいるのははじめてである。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)