一刻いつとき)” の例文
行きがけの駄賃に一番うらんでゐた今の旦那を殺しましたが、お銀さんにとめられて、内儀さんだけを助けて、一刻いつときほど前、何處ともなく行つてしまひました。
もう斯うなつたら娘をかゝへて一刻いつときも早くこんな化物屋敷を逃げ出すよりほかはあるまいと、お道はもう夫のことも自分のことも振返つてゐる餘裕がなくなつた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
一刻いつときもはやくおいでになつてさへ頂けばな、さうすれば、もう、逢ふ人見る人ごとに、いちいち吹聴なさらずにはゐられないほどの素晴らしい御馳走をして進ぜまするよ。