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糠味噌
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ぬかみそ
ふりがな文庫
“
糠味噌
(
ぬかみそ
)” の例文
それは外でもない、台所の隅つこにある
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の匂である。名香で痺れた鼻の感じは、糠味噌の
酸
(
す
)
つぱい匂を嗅ぐと不思議によくなる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
茄子
(
なす
)
を
糠味噌
(
ぬかみそ
)
へ
漬
(
つ
)
けるのに色を
善
(
よ
)
く出そうとして
青銭
(
あおせん
)
を糠味噌へ入れる人もあるが、あれは青銭から緑青が出てそれで茄子の色を善くするのだ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
自分の細君がすっかり
老
(
ふ
)
けこんで、
容色
(
きりょう
)
が落ちて、身体じゅう
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の
臭
(
にお
)
いが
滲
(
し
)
みこんでしまってい、いっぽう自分の方はまだ若く、健康で、新鮮で
富籤
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
尾張の
日間賀
(
ひまか
)
島でも、メザイとコゴメとは同じで、これと小麦
糟
(
かす
)
、大豆の粃などを合せ蒸して
糠味噌
(
ぬかみそ
)
を作るという。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
糠味噌
(
ぬかみそ
)
は
蓋
(
ふた
)
に
仔細
(
しさい
)
はございませんが、あんな調子っ外れの遠吠えを聞かされたら、どんな気の強い娘も寄り付かないだろうと思うと、可哀想でなりません。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
今までは何処へ往ってもお
土産
(
みや
)
を買って来てくれた事は無いが、そのお銭は
皆
(
みん
)
な
芸妓
(
げいしゃ
)
に入り揚げちまって、女郎買の
糠味噌
(
ぬかみそ
)
が何うとか
為
(
し
)
たって
然
(
そ
)
う云ったよ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
大きな酒樽にどつさり大根が漬けられてあつて、大嫌ひな
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の臭ひが鼻を襲つて
逆吐
(
むかつ
)
きさうになつた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
その通り……いったい、今のやつらはそれよりも、もっと皮肉が下等で、
諷刺
(
ふうし
)
が
糠味噌
(
ぬかみそ
)
ほども利かない。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お八重は叱るものが居なくなったせいか、
昨夜
(
ゆうべ
)
の残りの
冷飯
(
ひやめし
)
の全部と、
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の中の大根や
菜
(
な
)
っ
葉
(
ぱ
)
を、
糠
(
ぬか
)
だらけのまま残らず平らげたために、烈しい下痢を起して
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あまりに板につき過ぎているためにかえってなんとなくステールな
糠味噌
(
ぬかみそ
)
のようなにおいがして、せっかくのネオ・リアリズムの「ネオ」がきかなくなるように感ぜられた。
映画雑感(Ⅳ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私の家はそれほど大人数というわけでもなかったが、四斗
樽
(
だる
)
を
糠味噌
(
ぬかみそ
)
桶に使っていた。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
私は極端に
糠味噌
(
ぬかみそ
)
くさい生活をしているので、ことさらにそう思われるのかも知れませんが、五十歳を過ぎた大作家が、おくめんも無く、こんな優しいお手紙をよくも書けたものだと
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
羽織はなしに居ずまいも
端正
(
きちん
)
としたのを、仕事場の机のわきへ据えた処で、……おなじ年ごろの家内が、
糠味噌
(
ぬかみそ
)
いじりの、
襷
(
たすき
)
をはずして、渋茶を振舞ってみた処で、近所の
鮨
(
すし
)
を取った処で
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また、だいこんでありましたら、葉をつけたままだと、葉を育てるためにだいこんの方から養分がとられますから、葉を切り放して、葉はすぐ
糠味噌
(
ぬかみそ
)
に入れるなどした方がよろしいのです。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
終
(
しまい
)
には絹
手帕
(
ハンケチ
)
も鼻を
拭
(
か
)
んで捨て、香水は惜気もなく
御紅閨
(
おねま
)
に振掛け、気に入らぬ髪は
結立
(
ゆいたて
)
を
掻乱
(
かきこわ
)
して二度も三度も結わせ、夜食好みをなさるようになって、
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の新漬に
花鰹
(
はながつお
)
をかけさせ
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
門は
開
(
あ
)
いているが玄関はまだ戸閉りがしてある。書生はまだ起きんのかしらと勝手口へ廻る。清と云う
下総
(
しもうさ
)
生れの
頬
(
ほっ
)
ペタの赤い下女が
俎
(
まないた
)
の上で
糠味噌
(
ぬかみそ
)
から出し立ての
細根大根
(
ほそねだいこん
)
を切っている。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、山出しの女中と言えば、あいつにも一つだけ取柄がありますのじゃ。それは漬物がなかなか上手でしてな。あいつの漬けた
糠味噌
(
ぬかみそ
)
じゃと、お母さんにもきっとお気に召しますわい。」
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
前者は
糠味噌
(
ぬかみそ
)
臭い世話女房で、たしかに貞節そのものではあるだろうが、亭主野郎の晩酌の味を決して愉しくさせてはくれなかろうし、後者は逢いつ逢われつしている間こそ無責任で面白かろうが
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「だって好きなんですもの、あたし芸妓が好きなんです、家に引込んで
糠味噌
(
ぬかみそ
)
臭くなるなんて性に合わないんです」おつるはこう云うと
喉
(
のど
)
の奥で笑った、「さあいきましょ、この坂をおりると海よ」
扇野
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして友達の伯母さんと一緒に、
糠味噌
(
ぬかみそ
)
などを拵えてくれた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
大きな
酒樽
(
さかだる
)
にどっさり大根が
漬
(
つ
)
けられてあって、大嫌いな
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の臭いが鼻を襲って
逆吐
(
むかつ
)
きそうになった。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「三十年後家を通して、
烏婆
(
からすば
)
アとか何んとか言はれ乍ら、溜めたんだから、三十兩や五十兩ぢやあるまいと思ふが、天井裏も床下も、
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の
瓶
(
かめ
)
の中まで見たが無いよ」
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
薪
(
まき
)
も割ってもらわなくちゃこまるし、
糠味噌
(
ぬかみそ
)
もよく
掻
(
か
)
きまわして、井戸は遠いからいい気味だ、毎朝
手桶
(
ておけ
)
に五はいくんで来て台所の
水甕
(
みずがめ
)
に、あいたたた、馬鹿な亭主を持ったばかりに
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ある時
新茄子
(
しんなす
)
をよそから持って来てくれたものですから、その茄子を
糠味噌
(
ぬかみそ
)
へつけさせて食べてみますと、どうしても秋茄子の味でございますから、これは只事ではねえぞ、さあ村の人たちよ
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「三十年後家を通して、烏婆アとか何とか言われながら、溜めたんだから、三十両や五十両じゃあるまいと思うが、天井裏も床下も、
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の
瓶
(
かめ
)
の中まで見たがないよ」
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
糠
漢検準1級
部首:⽶
17画
味
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
噌
漢検準1級
部首:⼝
15画
“糠味噌”で始まる語句
糠味噌漬
糠味噌汁
糠味噌瓶