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持參金
見捨たと云
廉があるゆゑ
道具衣類は云までもなく百兩の
持參金はとても返す
氣遣ひなしと思ふゆゑ
夫は
損をしても
構ぬが
何分離縁状を
これほどの
人他人に
取られて
成るまじとの
意氣ごみにて、
聟さま
拂底の
世の
中なればにや
華族の
姫君、
高等官の
令孃、
大商人の
持參金つきなど
彼れよ
是れよと申
込みの
口〻より
何時迄も致すは
迷惑なり殊に又私しの末の弟が
六ツケ
敷云ふゆゑ何か
最初より申通り
持參金の百兩衣類道具代等は兎も角も
離縁状ばかりを