しめ)” の例文
途端に、猿臂えんぴがぬッくと出て、腕でむずと鷲掴わしづかみ、すらりと開けたが片手わざはやいこと! ぴっしゃりとしめると、路地で泣声。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
... しめて来たまえ(大)夫や実に難有ありがた畢生ひっせい鴻恩こうおんだ」谷間田は卓子ていぶるの上の団扇うちわを取り徐々しず/\と煽ぎながら少し声を低くして
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
かたしめて立出たり折柄師走しはすの末なれば寒風かんぷうはだへつらぬく如きを追々の難儀に衣類は殘ず賣拂うりはらひ今は垢染あかじみたる袷に前垂帶まへだれおびをしめたるばかり勿々なか/\夜風はしのぎ難きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『アムブロアジヌお婆あさんはあはてゝ窓や扉をしめますよ。』
格子戸こうしどがら/\とあけてしめる音はしずかなり。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
扉を乱暴にしめる音。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)
しめい言うて、云わしゃれても、な、らちかん。閉めれば、その跡から開けるで、やいの。)
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)