門地もんち)” の例文
象次郎曰ふ、復古はかたきに非ず、然れども門地もんちはいし、門閥もんばつめ、けんぐることはうなきに非ざれば、則ち不可なりと。二人の本領自らあらはる。
しかも年は二十はたちになったが、妻はまだめとっていない。家は門地もんちも正しいし、親譲りの資産も相当にある。詩酒の風流をほしいままにするには、こんな都合つごうい身分はない。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
当時筑摩家は門地もんちも高く、数ヶ国を領していた大々名であったから、屈辱的な降参ではない迄も、決して対等の和睦をしたのではなく、実は一閑斎の麾下きか隷属れいぞくしたのであろう。
お君は能登守の奥方の門地もんちというものを、初めて能登守の口から聞きました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さはいへど人妻ひとづまならばおよぶまじことなりたしかめてのち斷念だんねんせんのみ、うきたるこひこゝろをくす輕忽あわつけしさよともおぼさんなれど、父祖傳來ふそでんらい舊交きうかうありとて、其人そのひとこゝろみゆるものならず、家格かかくしたが門地もんちたつと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
門地もんちをどうするんじゃ。士族というお家柄をどうするんじゃ」
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
彼と敦忠とは門地もんちや官位が違う上に、父同士の間に夫人のことでいきさつがあったことが妨げになって、何となく双方に遠慮があり、互に餘り接近することを避けていたらしいのであるが
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)